2013年2月10日日曜日

comply or explain(従え、さもなくば、説明せよ)(のぞみ総研メルマガ2012.8.1より)

 法務省から会社法の改正要綱の案(第一次案)が公表されました。今回の改正案に
関しては、法務省の法制審議会では、当初オリンパスや大王製紙の不祥事を受けて、
経営の透明性を確保するために「監査役会設置会社で会社法上の大会社(資本金5億
円以上または負債200億円以上)」か「有価証券報告書の提出義務のある企業」に義
務付けることを検討していたのですが、経済界からの反発を受けて社外取締役設置を
会社法で義務化することは見送りとなりました。

 それに代わって、設けられることになりそうなのが、社外取締役を選任しない会社
については「その企業がなぜ社外取締役を選任しないほうが妥当なのか、その理由を
開示すること」という規定です。

  これは、イギリスで活用されている comply or explain (ルールに従え、さも
なくば、従わない理由を説明せよ)という考え方によるものです。ルールに従わない
企業は、その理由を自ら説明し、ステークホルダー(株主などの利害関係者)の判断
にまかせることになります。

 この考え方を会社法で採用するとなると、法人の自由な選択の余地を残しつつも、
一定の法的な効果を持たせるという点で、日本ではこれまでになかった規制の手法と
なってきます。

 次第に、法律だけで明確にならない規制が増えつつあります。企業の自由な判断が
可能になるということですが、それは「自ら決め、その判断が確信を持って正しい」
ことを説明し、ステークホルダーの納得を得なければならないということも意味しま
す。

 法律の規範性が希薄化していく中で、企業は自らの社会的な責任を自覚して自立す
ることが求められているのです。


(今村 正典)