2013年1月24日木曜日

子どもたちの職業に対するイメージとは?(のぞみ総研メルマガ2012.7.11コラムより)

私が理事を担当している「NPO法人きょういく応援団」は、市民を学校に派遣する
活動を行っています。
先日は、ある中学校で5人の市民に職業講話をしてもらいました。

事前に、どんな職業の話を聞きたいですか?と、中高生にアンケートを取ったと
したら。どんな職業に子ども達の関心が強いか、想像できますか?

多くの場合、関心のトップには、スポーツ関係、芸能関係、花屋、ケーキ屋、
デザイナーなどが挙がります。
子ども達がテレビなどですでに見ている職業で、しかも、かっこいい、かわいい、
自分にもできそう、といったイメージのある職業が多いようです。
しかし子ども達が実際にこういった職業を選べる確率は非常に小さなものですし、実際に
選べたとしても、予想と実態の違いにとまどうことでしょう。

現実には、今彼らが想像もしていない、そして日頃無視している、地味でかっこよくない
仕事を選ぶことになります。
メディアは、「彼らが見たいもの」しか見せませんし、学校や親も仕事について語ること
が少ないので、子ども達が「地味な仕事について考える時」は多くの場合、「就職のため
に夢をあきらめた時」と同時になってしまいます。
そのあきらめた「夢」が、メディアによって植えつけられた妄想だったとしたら、
その「あきらめ」にはどんな意味があるのでしょう。

今回、ある不動産鑑定士の方が一名、講師として初めて参加されたのですが、不動産鑑定士
という職業の話だけで中学生の関心を引き付けることは容易ではありません。
でもその人はアマチュアのアスリートでもありまして、アマチュアランナーとして世界屈指
の順位を保持するため、日夜体を鍛えるという趣味を持っています。

その鑑定士さんに講話を終えた感想を聞いてみると、話した内容の半分くらいは「体を
鍛える話」になってしまったそうで、腕立て伏せや腹筋の鍛錬を実演してみせたところ、
子ども達が熱心に聴いていたそうです。
その方は「こんな講話で良かったのかな。。。」と不安そうでしたが、
「それで充分ですよ。一つの人生を生で感じ取ってもらうことが重要なのですから。」
これが私の考えです。

自分が納得して仕事を選ぶということは「贅沢」なことです。
そういう贅沢を子ども達にさせてあげるためには、「彼らが今望んでいる仕事」を彼らに
与えるよりも、日頃彼らの人生を支えているたくさんの「目立たない仕事」について考えて
もらう方が、より効率的だと思います。

人生いろいろ、仕事もいろいろ。そのおかげで自分も生かされている。
そういう当たり前のことを子ども達に考えてもらい、社会人の皆さんにも子ども達の未来や
自分の生き方について考えてもらう。
それが職業講話の目的です。

講話に参加される講師の皆さんは、毎回悩み、ドキドキしながらがんばっています。
終わってからも、子ども達の反応について不安になったりします。
でも、ほとんどの方が「またやりたい」と言ってくれます。
学校の先生からも、「仕事と人生の話を聞かせてもらって自分も考えさせられた。」という
感想をいただきました。

職業講話にご興味のある方がいらしたら、弊社、のぞみ合同事務所までお問合せください。
特に地味なお仕事の方は歓迎です。

(日野 孝次朗)