2012年11月30日金曜日

排出者の責任(のぞみ総研メルマガ2012.5.30より)

 利根川水系の浄水場の水道水から、国の基準を超えるホルムアルデヒドが
検出され、多くの地域で断水するなどの被害を出した事件については、上流
域にある産業廃棄物処理業者が、原因となった化学物質であるヘキサメチレ
ンテトラミンが入った廃液を流したことが原因で、この物質と浄水場で加え
られる塩素が反応してホルムアルデヒドができてしまったということがわか
ってきました。

 廃液を流した産業廃棄物処理業者は、ヘキサメチレンテトラミンなどの
物質が入っていることを知らされずに排出事業者からの処理を請け負った
ものであるとの認識をしているようです。排出事業者となるメーカーは、
「明確な指示や表示がなくても、業界の常識として」廃液の中に含まれて
いる窒素の量などからヘキサメチレンテトラミンに対応した処理をするこ
との必要性がわかるはずだと主張しています。

 廃棄物処理及び清掃に関する法律(廃掃法)第3条は、「事業者は、その
事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければ
ならない」と定めていますので、今回の事件では排出事業者であるメーカー
もその責任を逃れることはできません。

 廃掃法は、度重なる改正の中で排出事業者の責任がその都度大きなものと
されてきました。委託先か起こした不祥事でも、排出事業者が実名で公表さ
れたりすれば企業にとってとても重要なレピュテーション(評判のこと)を
大きく毀損することにもなりかねないのです。

(今村 正典)