2012年11月30日金曜日

はるばる来たぜ 函館(のぞみ総研メルマガ2012.5.30コラムより)





今日は出張で、13年ぶりに函館に来ています。

北海道の南西に突き出た渡島半島(おしまはんとう)は、
本土に噛みつこうと口を開けているような形です。
そこに一本飛び出た奥歯のような亀田半島が函館の
地勢の特色を形成しています。

この小さな半島が、荒海から船を守る天然の良港の役割を
果たし、函館らしさを育てて来ました。
その函館には、いろいろな顔があるようです。



本土と北海道との連絡拠点として発展し、古くは本土と
蝦夷地との交易拠点として、江戸期には松前奉行がおかれて、
北前船を介する物流拠点として繁栄しました。




幕末には開港場として西洋文化を吸収する窓口となり、
榎本武揚率いる幕軍に占拠されてから函館戦争が終わる
まで、蝦夷共和国の首都とされました。




20世紀になると、北海道の防衛と津軽海峡監視の目的で
函館山に津軽要塞がおかれ、重要な軍事拠点としての役割
を担い、函館山は終戦の年まで入山禁止となっていました。




北洋漁業と水産業の一大拠点でもあり、風光明美な観光
名所としても高い人気があり、北島三郎さんなど芸能関係者
と縁のある街としても知られています。



バブル崩壊後は産業の衰退が著しいようで、私が以前訪れ
た頃よりも元気が無くなっているような印象ですが、これほど
たくさんの特色を併せ持った街も、ちょっと珍しいと思います。



町全体に歴史の風雪をしのばせる気品が感じられます。
風はおだやかで、そよぐ風もすがすがしく、静かで心落ち
着く街です。
考えれば考えるほど、奥深いところだなあと思うのでした。

(日野 孝次朗)