2012年5月23日水曜日

「優越的地位の乱用」とは (のぞみ総研メルマガ 2011.12.14より)

玩具販売の最大手の「トイザらス」が、取引上立場の弱い納入業者に
不当な値引きや返品を繰り返したとして、公正取引委員会が独占禁止法違反
(優越的地位の乱用)で3億円を越える課徴金納付命令と再発防止を求める
排除措置命令を出したというニュースがありました。

「優越的地位の乱用」とは、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを
利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかの行為をすることと
されています。(以下、公正取引委員会告示抜粋)

一 継続して取引する相手方に対し、当該取引に係る商品又は役務以外の
  商品又は役務を購入させること。
二 継続して取引する相手方に対し、自己のために金銭、役務その他の
  経済上の利益を提供させること。
三 相手方に不利益となるように取引条件を設定し、又は変更すること。
四 前三号に該当する行為のほか、取引の条件又は実施について相手方に
  不利益を与えること。
五 取引の相手方である会社に対し、当該会社の役員の選任について
  あらかじめ自己の指示に従わせ、又は自己の承認を受けさせること。

トイザらスでは商品の納入業者に安売りセールの値引き分を負担させたり、
売れ残り商品を返品していたとのことで、公正取引委員会としては、本来
納入業者の責任ではないことについて強引に経済的負担をさせていたとして
「優越的地位の乱用」があったと判断したようです。

販売競争を勝ち抜くための経営努力も、度が過ぎると法令違反となるリスク
が生じてきます。
企業側の言い分もあると思いますので事の正否には触れませんが、競争と
法令遵守のバランスを維持することはとても難しいことなのだと思います。

(日野孝次朗)