2012年4月25日水曜日

6.5 環境(その3) 原則 環境責任 予防的アプローチ

 環境責任

 組織が、環境関連の多くの規制を順守することは当然ですが、それだけでなく、組織の活動や決定によって引き起こされる環境への影響について責任を持つ必要があります。工場や事業所などの立地だけではなく、設置される機械装置や、原料、製造工程全体から販売、消費、廃棄にいたる全ての過程での、環境への影響を考慮することが必要です。

 予防的アプローチ

 予防的アプローチとは、1995年の地球サミットで提唱された「環境と開発に関するリオ宣言」にある考え方です。ここでは、予防的アプローチの定義を「環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない。」としています。

 つまり、組織の活動や決定が、環境に何らかの影響を与えることが予測される場合には、それが科学的に証明されていない場合であっても、環境の劣化や健康被害の予防に努めなければならないというものです。

 現在は「環境」のほか「消費者課題」に固有の原則とされていますが、多くの分野においてこの原則が関係するようになることも考えられます。

 短期的な費用対効果を考えるだけではなく、長期にわたる評価が必要です。