2011年12月21日水曜日

心からにじみ出た態度

のぞみの目線8月24日号より

先日、私はとある高校で高校生の就職採用面接の訓練に参加して
きました。つまりは、私が企業の人事担当者の真似事をして、
高校生に面接の経験を積ませるというボランティアです。
面接を終えていろいろ思うところはありましたが、ひとつ印象に
残ったことは、生徒達も先生方も「声を大きく出すこと」にとても
注意を払っていたことです。
企業の採用担当者の意見として、声が大きい生徒を採りたいと言う
話が多いのだそうで、少々大きすぎるくらいの方がよいということ
になっていました。

私が気になったのは、声の大きさにひたすら注意を促す先生の考え
方です。今時そのような単純な発想で採用決定を左右するとは思
いませんでしたし、面接に臨む高校生達が考えるべき点はもっと
根本的なことではなかったかと、私はあれこれ考え悩んでしまい
ました。

面接とはそんなものか。それとも、もっと別のあり方もあるものか。
私が企業の人事に関係しているわけではないので、どうでもよい
ことだとも思えますが、これはコンプライアンスやCSRと無関係
とは言い切れないような気がします。

私の知り合いに三味線の先生がいまして、この話を聞いていただき
ました。

重要無形文化財常磐津節の保持者として国の指定を受けておられる
方なのですが、その方からこの話について一文をいただきましたの
で紹介いたします。

以下一部抜粋
さて。 
面接という場においてのマナーと云うものは声の大きい小さいと
言った理屈ではなく、
心の奥からにじみ出た対応で臨むのが本当でしょう。
最近テレビ画面で、責任者の何人かが揃っての謝罪場面を度々見る。
その時の頭の下げ方を皆さん良く見ておられますか。
心から謝っている人、仕事として仕方なしに頭を下げている人。
良く観察してご覧になってみてください。参考になりますよ。
ですから面接の場において挨拶するに当たり、身体を○○度前に
倒してお辞儀をしなさい、ではなく、気持ちを込めて相手に接すれば、
挨拶に当たり自然に身体は前屈みになるもの。
教えられた角度に身体を倒すより、相手に好感を持って受け入れ
られるのは、心から出た姿であるはず。
これがマナーの根本であるのではないか。
<常磐津東蔵>
以上抜粋終わり。

面接のとらえ方はいろいろだと思いますが、心からにじみ出た態度が
本来の姿だという考えは、もっと強く意識していきたいと思いました。
(Kojiro Hino)