2011年5月11日水曜日

第一章 適用範囲(ISO26000)

 ISO26000が、組織の持続可能な発展について社会的責任の観点から貢献しようという意図の下に策定されたことについて書かれている部分です。法令を遵守することが組織の社会的責任の最も基礎的な部分であって、ISO26000はそれ以上に社会的責任について活動を行うにあたって、共通の理解を促進するものであるとされています。

 この中で特に重要なのが、ISO26000がマネジメントシステム規格ではなく、認証を目的としたり、契約や規制の条件としたりすることは意図されておらず、そういった目的で使用することは適切ではないとされている部分です。したがってISO26000を活用する組織は、この規格の内容を参考にしながら自主的に取り組んでいくことが求められるのです。

 また、ISO26000について公共政策の一部として利用できるとされているものの、国際貿易機関(WTO)協定の国際規格などと解釈されることも、訴訟などの主張の根拠とされることも意図されていないとされています。

 認証もなければ協定上の国際規格とも解釈されず、訴訟等の根拠にもならないのですから、一見するとISO26000は何も役に立たないもののように思えます。しかし、ISO26000は認証も自己宣言もないということから、何もしなくても全ての組織が対象となってしまうので、実際には組織はステークホルダーとの関係上これを無視することができません。場合によっては、法規制ではなくても現実的には社会の中で規範性を帯びている「ソフトロー」としての性格をもってくることも考えられるのです。