2011年2月2日水曜日

ISO26000

品質管理のISO9000シリーズや環境に関するISO14000
 シリーズはよく知られています。これとは別に、ISO26000と
 いう規格が昨年の秋に発行されました。このISO26000は「組織
 の社会的責任(Social Responsibility)ガイダンス」と呼ばれています。
 頭文字をとって、SR規格と呼ばれることもあります。

 最近よく耳にするようになった「CSR」は「企業の社会的責任」の
 ことですが、ISO26000では企業(Corporate)に限定せず、
 あらゆる組織(政府機関、自治体、企業、NPO、大学など)がその対象と
 なります。

 これまでにISO認証を取得した企業の方は、新しい規格と聞いた
 だけでうんざりしてしまうかもしれません。というのもISO9000
 シリーズやISO14000シリーズは、第三者認証を受ける必要が
 あって、そのために膨大なコストをかけて社内体制を整備したり、
 多くのマニュアルを作成したりする必要がありました。

 実は、このISO26000はISO9000シリーズやISO14000
 シリーズとは大きく異なる点があります。それが、「組織の社会的責任
 ガイダンス」といわれている点です。
 ISO26000は規格の中で強制的に適用される事項がほとんどない
 のが特徴ですが、これは「ガイダンス」であって第三者が認証したり
 するものではないのです。

 このISO26000シリーズは組織の自主的な取り組みにまかされて
 いますから、取り組みを全くしないという選択も可能です。しかし、
 企業が何らかのリスクに直面した瞬間から、この規格に準拠して行動
 していたかどうかが大きく問われることになるかもしれません。

 CSR調達と同様に、中小企業でも元請企業との関係や、逆に発注先
 について取引の流れ全体(サプライチェーン・バリューチェーン)を
 常に管理することが必要となってくるのです。

 ある企業の方が言っていた、「認証規格にしてくれたほうがよっぽど
 楽なのに・・・」という言葉が、これからの対応の大変さを物語っている
 のかもしれません。

(Masanori Imamura)